梯剛之さんは、1977年音楽家の両親のもとに生まれました。
幼少の頃小児ガンにかかり1ヶ月で失明します。
しかし、音楽一家に生を受けたため、ピアノをオモチャ代わりに遊んでいるうち、ピアノのすばらしさに目覚め、4才半より先生に師事します。
1990年、八王子の小学校を卒業と同時に渡欧しウィーン国立音楽大学準備科に入学、同年再び眼に悪性腫瘍を患い帰国し手術、翌年ウイーンでの勉強を再開します。
94年チェコの盲人弱視者国際音楽コンクール、ドイツのエトリンゲン青少年国際ピアノコンクール(Bカテゴリー)で参加者中最年少で優勝、95年アメリカのストラヴィンスキー青少年国際コンクール第2位。 97年村松賞受賞。 98年ロン・ティボー国際コンクール(パリ)第2位およびSACEM賞(リサイタル賞)、シュピオンボノー財団賞を受賞。 99年都民文化栄誉章、出光音楽賞、点字毎日文化賞をそれぞれ受賞。 00年ショパン国際コンクール(ワルシャワ)ワルシャワ市長賞受賞 など、数々の賞を獲得した世界で注目を浴びる天才ピアニストです。(以上は、公式サイトより引用)
現在はウィーンに母上と共に在住で、日本での演奏のために帰国された時は、私が住んでいる街の別荘に時々滞留されます。
自然の多い我が街を散歩されているお姿に何度か遭遇しました。
ある日、犬(ジローの前の犬)の散歩の時、母上に支えられて散歩されている梯さんにお会いしたので、「この間の演奏会はすばらしかったですね。」とお声をかけたら、全盲の梯さんに、母上共々、深々と頭を下げられ、「有難うございます」とお礼のお声をかけていただきました。世界的ピアニストであるにも係らず、その謙虚な振舞いに大変感動致しました。
その時、母上は、私の事を「茶色の足の長いすらっとした犬をお連れの方ですよ。」と息子さんである梯さんに説明されていました。「ああ・・・そうですか」と。
そう言えば、散歩の時はいつも母上が梯さんの目になり、「新芽が芽吹いていますよ。」とか「この家のお花は、とてもきれいですよ」など等、和やかに談笑されながら散歩されています。
時々、演奏会が近づくと、猛レッスンの模様を犬の散歩の時など耳にする事が出来ます。
そんな時は、犬の散歩を忘れて、丁度梯さんのお宅の前の公園で、世界の一流のピアニストの美しい音色を聞いてしまいます。何か得をした様な気になります。
最近は、余りその美しいピアノの音を聞いておりませんが、日本全国を演奏旅行されている事をサイトで知りました。
私の周りの方々は、梯さんを特別視する事をせず、暖かい目で静かに見守る風を心掛けています。
しかし、我が街の誇りであると同時に、いつも勇気を下さる存在である事には変わりがありません。
1 件のコメント:
日常の生活範囲の中で、世界的な演奏者の素顔に触れ、会話を交わし、さらにレッスン中の演奏まで聴けるとは、素晴らしい環境ですね。国際的な舞台で活躍しているとはいえ、やはり身近に感じ、応援したくなるのではありませんか。機会があれば、演奏会等にぜひ足を運んで見たいと思います。
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