2008年2月1日金曜日

英国人女性旅行家イザベラ・バードのこと


 前回のブログ、イザベラ・バードkasiさんからコメントがつきましたので

少し調べてみました。

 イザベラ・バードは1831年英国ヨークシャーに生まれ、1854年から

アメリカ、カナダを旅し、次いでオーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、

ロッキー山脈、1878年に日本、香港、マレー半島、カイロ、その後カシ

ミール、チベット、インド、モロッコなど70歳になるまで世界を旅行探検し

ました。


 明治11年(1878)5月21日、イザベラ・バードは太平洋を横断し横浜

に上陸しました。しかし、横浜や東京とは違う「本当の日本」を見たいと

いう思いで、外国人にはほとんど知られていなかった「北国」へ旅立ちました。


 バードが「北国」へ旅立ったのは6月10日、持ち物はゴム製の浴槽

旅行用寝台、折りたたみイス、空気枕。英和辞典などだったそうです。

そして、18歳の男性通訳・伊藤を伴って馬で日光から会津、新潟を経て

小国~小松(泊)、置賜盆地~赤湯~上山(泊)~山形~村山盆地~

金山(泊)そして秋田青森、北海道と踏破し函館から船に乗って9月17日

に横浜に戻りました。


 全行程1600キロ3ヶ月余りにおよぶ大旅行の記録は2年後「日本の未

踏の地」(日本奥地紀行)としてイギリスで出版されベストセラーになりまし

た。

 上山の記述は「第18信上山にて」記されています。(高橋健吉訳

イザベラ・バード「日本奥地紀行」)


そして、上山で宿泊した旅館はいまはありませんが、「よねや旅館」の前身の

「会津屋(河合長六氏)」のようです。会津屋は明治14年明治天皇が行幸の

折(御昼食)の行在所でもあり、そのとき羽二重壱疋、金五拾円、菊の御紋章

を賜っています。

 主人の曾祖父の原田藤左衛門が明治38年に「会津屋」を買い取り「米屋

旅館」として営業しました。よねや旅館も平成4年にクローズして今はありません。


 イザベラ・バードの日本奥地紀行を2006年10月、それまで、未訳になって

いた置賜地方の記述や省略されていた関西地方の旅行記を4年間かかって

完訳した山形大学名誉教授の大津 高先生(私の恩師)からいただいた今年の

賀状に「I.Birdnの日本紀行を訳しています。彼女の上山の宿は会津屋

だったと言われています。あなたのお家の宿だったのではないですか?」

とありました。ので、イザベラ・バードが上山で宿泊した宿は以上のようです。

5 件のコメント:

sizu さんのコメント...

すみません~。
大津先生の記事が載っているリンク先は河北新報(本社仙台市)なんですがアドレス間違ったようです。リンクできませんでした。

sizu さんのコメント...

アドレスを訂正しました。リンクしてみてください。大津先生は専門は生物(動物)なんですよ~??。

ジロー さんのコメント...

 お恥ずかしい事ですが、私はイザベラ・バードを知りませんでした。
 沢庵和尚、斉藤茂吉、松尾芭蕉位はちょっとばかり知っていても・・・です。
 23歳~70歳というとほぼ50年弱世界を旅したなんて、何と素晴らしい事でしょう。女性の強さが感じられます。尊敬しちゃいますね。
 そう言えば、斉藤茂吉の奥さんの輝子さんは、斉藤茂太(子供)宅で晩年を過ごしたそうですが、80歳の時「明日から世界旅行してくるわよ」と言って、颯爽と出かけて行ったくだりが「快妻物語」に述べられています。
 そんな風に年を重ねたいと常々思っていますが、靖子さんはどんな老後を考えていますか。
 すばらしい記事を有難うございました。

kas さんのコメント...

sizu 様

 大変詳細な記事で感謝申し上げます。
このような事実の掘り起こしは大変貴重なことで、観光協会または市でその辺の資料を集め展示すれば有力な観光資源になるのではないでしょうか。

(上山温泉史資料や記述原文の展示等興味深い)

 明治初期(混乱期)の上山温泉の状況は、まだまだ文献に記載されている可能性があり、探索開示したいものです。意外に好意的な評価が多く集まる可能性が高いと思っています。
 御多忙の中御礼申し上げます。 柏倉 孝  

kas さんのコメント...

追信 「バード研究の深さに圧倒される」

 私は、今から5,6年前に日立駅前のやや大きな書店でバードに関する数冊の本を手にして好奇心をそそられ店頭で何度も立ち読みしました。(今は店仕舞いしてもうできない。)

 今回sizu様の文章を礎に多くの事を知りました。地元上山では、2006年市のイベントとして大きく町興しにバード紀行を取り上げたこと、さらに特筆すべきは「春秋上山3号」で1982年に詳細な探求が行われていたことです。バード紀行は2000年前後に一般市販化されましたのでその地元先輩の先見性がひときわ輝いています。

 概要は2004年白神りゅうや氏「バード探しの旅紀行-七、地方に近代化を見る」(グーグル検索)に要領よく纏められています。
その中で赤湯側が既に「バード記念コーナー」を設け展示しているそうで、先を越されてしまったのはちょっと残念です。 
           柏倉 孝